企業法務

特に中小企業の経営者にとって大きな問題となるのが、①労務管理、②会社支配権の争い、③事業承継(経営者の高齢化対策)、④企業の再生と清算、といった問題です。こういった問題が実際に生じた場合に適切に対処することはもちろんのこと、これらを生じさせないための予防措置も極めて重要であることはいうまでもありません。


1. 労務管理
労務管理とは、従業員の募集、採用に始まり、配置、異動、教育訓練、人事考課、昇進、昇給、賃金や労働時間の管理等、退職に至るまでの一連の流れを適正に管理することであり、これらの管理は、企業の維持・発展のために不可欠のことです。労務管理については、労働基準法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法・パートタイム労働法等の様々な法律がありますが、その最も基本的かつ重要な法律が労働条件の最低基準を定めた労働基準法です。ただ、多くの企業が労働条件の最低基準すら遵守出来ていない現実があり、その理由として、経営者が労働法規を知らないか、あるいは関心が薄いといったことも少なからずあると言われています。

今、厳しい経営環境の中において、経営者が正しい労働法規の知識をもとに、適正な対応・行動を行うこと、即ち法令遵守(コンプライアンス)を重視し、企業の信頼を高めることを目的とした労務管理を行うことが強く求められています。


2. 会社の支配権争い
会社の支配権を得るということは、いかに多くの株式を支配下に置くかということに尽きるといえます。そのためには、会社法に精通するとともに、緊急の場合には、取締役の職務執行停止・職務代行者選任の仮処分等の保全手続も駆使する必要があります。また、中小企業の場合、親族が株主兼役員であることが多いため、株主の中に高齢の親族がおられる場合は、相続、後見等の家族法に関する問題等への対応が必要になる場合もあります。


3. 事業承継(経営者の高齢化対策)
経営者が高齢により引退する場合の対応策については、①後継者に経営権を譲る、②企業の売却または譲渡(M&A)、③廃業という三つの方向が考えられます。
①後継者(特に親族)に経営権を譲る場合には、相続や税金等の問題が生じてきますし、②企業の売却または譲渡(M&A)の場合は、どのような方法、手段を採るのが最善か法的に十分検討する必要があります。


4. 企業の再生と清算
企業の倒産を防ぐためには、①企業の体質を利益が出せるものにすること、②負債を適正な額にすることが必要です。②負債を適正な額にする方法としては、銀行等の債権者と法的問題も含めて交渉し、リスケジュールをして返済を延ばしてもらう方法と、債務を一部カットしてもらう方法などがあります。しかし、経営者が事業の継続に意欲を失っている場合、客観的に見ても事業が利益を生み出す見込みがなく、事業を続ければ負債がますます増加するという場合には、破産等の清算手続入って行かざるを得ません。

先行きの不透明性が増している今日において、企業を経営し発展させていくためには、上記のような問題をはじめとする多くの法的な問題をクリアしていく必要があります。法的な問題に対する事前・事後の適切な対処なくして、企業の維持・発展はないともいえます。当事務所の弁護士を、身近なアドバイザー(顧問)として活用し、事業の維持・発展を期していただきたいと思います。